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大人数でドアへと押しやられた4人は転げるように教室を出た。
その瞬間ターゲットが変わったのがわかった。
あたしたちには見向きもせず、廊下に出ていた生徒へ襲いかかり始めたのだ。
しかし、気にしている場合じゃなかった。
4人が出て行った隙にすぐにドアは閉められていたのだ。
「みんな、どうしちゃったんだろう」
雪が泣き出しそうな声で呟く。
きっと全員が考えいる疑問だろう。
だけど、その答えを持っている生徒は1人もいなさそうだ。
原因がわかっていれば、対処方法だってわかるのだから。
「遥。大丈夫だったか?」
声をかけられて自分がまだ純也の腕の中にいることを思い出した。
あたしは慌てて純也から身を離した。
「だ、大丈夫だよ。ごめんね、無茶なことしちゃって」
太君から助けようとした女子生徒は結局死んでしまったし、心配ばかりかけてしまっていることに気がついた。
「いや、遥らしいと思うよ」
見上げると純也がかすかに微笑んでいた。
その笑顔に少しだけ落ち着くのを感じる。
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