悲鳴

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廊下からは悲鳴が聞こえ続けていて、騒動は治まっていないのがわかった。 先生たちが駆けつけたとしても、体格のいい男子生徒4人も相手にするのは難しそうだ。 校内には里香の件でかけつけた警察官もいるから、大丈夫だと思うけれど……。 それでも途絶えない悲鳴にどんどん不安が募っていく。 「なぁ、あいつら4人が外に出たらどうなるんだろうな」 それは紀夫君の言葉だった。 紀夫君は青ざめた顔で窓の外を見ている。 「え?」 反応したのは雪だった。 「外で暴れだしたら、どうなるんだ?」 紀夫君は雪へ視線を移動させ、また問いかけてきた。 それはもっとも想像したくないことだった。 そっと窓辺に近づいて外を確認してみると、学校の前を幼稚園の子たちが歩いているところだった。 引率の先生と一緒に、近くの公園にでも向かっているようだ。 今、もしこの中に4人が突撃していったら……? 一番最悪な事態を想像してしまい、あたしは慌ててその想像をかき消した。 普段は優しい太君でさえ、あんな風に豹変してしまったのだ。 子供たちにだってきっと容赦ないだろう。
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