悲鳴

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生徒たちの流れに乗って走る。 そしてようやく昇降口までやってきたときだった。 香が棒立ちになっているのが見えて、すぐに声をかけた。 「香!」 声をかけ、肩を叩く。 香は一瞬身をすくめて、それから昇降口へと指をむけた。 その指先を追いかけて視線を向ける。 その瞬間、自分の目を疑い、言葉を失った。 入り口にさっきの生徒たちが立ちふさがっているのだ。 逃げ出そうとする生徒と捕まえ、その場で暴行している。 「なにしてんのあれ……」 自分の声が情けないくらいに震えた。 足元のガクガクを震えだす。 だって、たった数分間の間にここは血まみれになっていたから。 複数の生徒たちが倒れこみ、山のように積み重ねられている。 柔道部の4人は容赦なく殴る蹴るの暴行を加え、時にカッターナイフまで使っているようだ。 「ほ、他の出口を!」 振り向いた瞬間、灰色の目をした女子生徒と視線がぶつかった。 え? 疑問を感じている暇もなかった。 その女子生徒はカッターナイフを持っていて、その刃は血にぬれていたのだ。
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