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でも、それはあたしたちが考えないといけない疑問だった。
あたしは震える足でどうにか立ち上がり、黒板の前まで移動した。
白いチョークを持って、一連の出来事を書いていく。
「まず最初に、トイレにいた理恵が豹変した」
あたしはトイレの床に広がっていた血を思い出し、奥歯をかみ締めた。
「次に幸子」
そう言ったのは香だった。
あたしはうなづき、それも黒板に書いていく。
そして次は柔道部の4人の男子たち。
「全員、灰色の目をしてたな」
純也が言う。
「そうだね。豹変した生徒たちはみんな灰色の目をしてた。これってなにかが感染したって考えられないかな?」
あたしはチョークを起き、みんなと同じ場所に戻って黒板を見つめた。
これだけのヒントじゃなにか起こっているのかまだわからない。
感染しているとしても、一体なにが感染しているのか……。
「殺人鬼」
呟いたのは香だった。
「え?」
「ほら、最近噂になってた殺人鬼だよ。16歳の頃に犯行した、アザのある男」
「だけど、みんなにアザがあったかどうかわからないだろ」
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