悲鳴

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「同じクラスの子だけが感染するなんて書いてないよ」 あ……。 その通りだった。 昇降口で見かけたあの女子生徒。 あの子も感染していたはずだ。 幸子と共に感染したのがあの子だとすれば、確かに人数が倍になっている。 「30分おきに倍の人数って、これヤバイんじゃないのか!?」 純也が青ざめている。 廊下からは絶えず悲鳴が聞こえてくる。 すでに全部で7人まで増幅しているのだ、このペースで感染していけばこの学校内は殺人鬼だらけになってしまう! 「殺人鬼になると、灰色の目になり、自我を失ったようになる」 雪がそこまで呼んだとき、廊下から大きな悲鳴が聞こえてきた。 あたしたちは目を見交わせ、そしてゴクリと喉を鳴らして唾を飲み込んだ。 純也が前に立ちそっと廊下側の窓を開けた。 少しだけあけた隙間から生徒たちが逃げ惑うのが見えた。 そしてそれを追いかける複数の生徒の姿も。 と、1人の女子生徒が足をひっかけて転んでしまった。 「いやぁ! 誰か助けて!」 泣き叫んで手を伸ばしても、誰も女子生徒を助けようとしない。
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