両親

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見ると雪が疑いの目を純也へ向けているのがわかった。 まさか、この騒動の黒幕とでも考えているんじゃないだろうか。 「この事件は20年前に起きてるんだよ? 純也が関係してるわけないでしょ?」 慌ててそう言うと、雪は口をつぐんで顔を伏せた。 「ごめんね遥。雪は今混乱してるみたい」 かわりに謝ったのは香だった。 あたしはしぶしぶうなづく。 混乱しているのは雪だけじゃないが、そんなことを言って喧嘩をしている場合でもない。 あたしは自分の怒りをどうにか押し込めた。 そのとき突然純也が「思い出した! これ、両親から聞いたんだ!」と、声を上げた。 「純也の両親から?」 「あぁ。随分昔のことだからすっかり忘れてたんだ」 中学校に入ってすぐの頃、この町の歴史に興味を持った純也は図書館で郷土資料の本を借りて読むのが好きだったらしい。 家に持ち帰った本を熱心に読んでいたとき、あの、F君が引き起こした大量殺人事件についても書かれていた。 『この人、どうしてこんなことをしたんだろうね?』 リビングでテレビを見ていた父親に資料を見せて、純也は聞く。
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