両親

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『今でいう快楽殺人っていうヤツだったらしいな。昔のことだから詳しくはわからないけど』 『快楽殺人……』 純也はそう呟いて顔をしかめた。 快楽で人を殺すなんて考えられないことだったからだ。 そしてその時、両親が昔のことを思い出したようにハッと息を飲んだのだ。 『どうしたの?』 『いやちょっと……思い出したことがあったんだ』 そう言う父親は明らかに様子がおかしかった。 顔色が悪く、額に脂汗が浮かんでいる。 まるで、思い出していけないことを思い出してしまったかのようだった。 『なにそれ?』 『純也には関係のない話だから』 そう言って額に浮かんだ汗をぬぐう。 その時、母親が『でも、純也にも話しておいたほうがいいかもしれないわよ』と横から声をかけてきたのだ。 そう言う母親の顔色もよくないことに気がついたけれど、話を聞きたいから黙っていた。 そこで聞いた話は今回と同じような事件だった。 両親はそのとき隣町の高校に通っていたから直接は関係なかったが、それでも衝撃は大きかった。 なにせ両親の地元はここで、隣町まで自転車で通っていたのだ。
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