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香に聞かれて純也はあいまいにうなづいた。
「たぶん、そうなんだと思う。耳たぶを切られていた生徒たちは目の色が元に戻って、そうじゃない生徒はずっと灰色の目をしていたって、教えられたらしい」
純也の両親も人づてに聞いた話だから、ハッキリと言い切ることはできなさそうだ。
でも、それは重要な情報だった。
「アザを切り離せば元に戻るってことじゃない!?」
香も声を弾ませている。
「そうだな。たぶんだけど」
純也は自信がなさそうだ。
なんでも、20年前の事件では最後には感染者全員の耳たぶが切られたらしい。
反撃されて死んでいても、それは関係なかったそうだ。
「でも、耳たぶを切るためには殺人鬼に近づかなきゃいけない……」
雪の言葉に全員が言葉を失ってしまった。
その通りだった。
アザの確認すらできないような相手に近づかないといけない。
それは命の危険と隣り合わせだということになる。
「カッターナイフで切れるのかな」
香が難しい表情で呟いた。
鋭利なナイフとは違うから、それも簡単にはいかないかもしれない。
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