両親

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「純也君?」 雪は途中で立ち止まり、大きく目を見開く。 「今ドアを開けたら、殺人鬼が教室に入ってくる」 純也の声は、今までにないほどの震えていた。 「なに言ってるの? 小村君が助けてって言ってるんだよ!?」 廊下からは尚もノック音と悲痛な叫び声が聞こえてきている。 小村君はあたしたちがここに逃げ込むところを偶然見かけていたのだろう。 ノックの仕方はだんだん荒々しくなっていて、焦っているのが伝わってきた。 「開けてくれ! 頼むよ白倉!」 名前を呼ばれて雪がハッと息を飲むのが聞こえてきた。 あたしは咄嗟に立ち上がり、教室後方のドアの前に立っていた。 自分でも自分の行動に驚いている。 でも、この4人だけでも平常でいなければならないと、本能的に感じていた。 「遥……?」 雪が愕然とした声で呟く。 その声が痛々しくて、あたしは雪と視線を合わせることができなかった。 「冗談だよね2人とも!? 外には小村君がいるんだよ!?」 雪の甲高い悲鳴に耳が痛くなる。 それでも、ここをどくわけにはいかなかった。
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