両親

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いつも穏やかな性格をしている雪からは見られることのない鋭い視線に、思わずたじろいだ。 雪に伸ばしていた手を引っ込めて、数歩あとずさりをする。 「いいよね遥は。いつでも純也君が一緒にいて、お姫様扱いでさぁ!」 「そんな……」 否定したいが、純也が一緒にいてくれることで救われていることは事実だった。 どう返事をしていいかわからず、言葉が見つからない。 「なんで小村君が襲われないといけなかったのよぉ!」 雪は床にこぶしを打ちつけて泣く。 「雪。小村君は逃げ切ったかもしれないでしょう?」 香が優しく諭すが、雪の泣き声は止まらない。 あたしは黙ってその光景を見つめているしかなかった。 今あたしが口を出せば雪を余計に混乱させてしまう。 そっとその場を離れ、純也の隣へ移動した。 「大丈夫か遥」 「うん。あたしは平気」 そう答えても、自然とうつむいてしまう。 雪がこんなに苦しんでいるのに、あたしにはなにもできない。 それが苦しかった。 「雪ももう少ししたら落ち着くだろうから、きっと大丈夫だから」
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