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「キャアアアアア!!」
悲鳴が聞こえたのはすぐそばからだった。
見ると雪がめいっぱい声を張り上げて叫んでいる。
純也が慌ててドアを閉めて鍵をかける。
「なにしてんの雪!」
信じられなくて雪を見つめる。
あれだけの声を上げられると、いつ誰に気がつかれるかわからない。
雪は悲鳴を上げるのをやめてあたしを睨みつけてきた。
「純也だって死ねばいいんだ!」
雪が叫ぶ。
あたしは唖然として開いた口がふさがらない。
純也は眉間にシワを寄せ、しかしなにも言わなかった。
「ダメだよ雪。もう誰も死んじゃダメなんだから」
香だけが必死で雪の気持ちを抑えようとしている。
そうだよ。
もう誰も死んだらダメなんだよ。
ここいいる4人だって死んじゃダメ。
もちろん、小村君だって……。
あたしは唇を引き結んで涙をこらえた。
雪からすれば、あたしたちが小村君を殺したも同然なんだ。
小村君はドアの目の前にいたのに、あたしたちは鍵を開けなかったから……。
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