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だけどあの時ドアを開けていたら、殺人鬼が教室に入ってきてあたしたちは全員襲われていたかもしれない。
どっちがいいかなんてわからない。
決められることじゃなかった。
雪の悲痛ぶりを目の当たりにしてにもできない自分ももどかしい。
でも、そんなことを考えている暇もなかった。
「やばい。足音が近づいてくる!」
ドアの外に聞き耳を立てていた純也がサッと青ざめ、ドアから離れたのだ。
「え?」
聞いた次の瞬間、複数の足音が聞こえてきた。
咄嗟にドアから離れて教室の奥へと移動する。
聞こえてくる足音は人間のものか。
それとも殺人鬼のものか。
これだけじゃ判別もつかない。
背中にジワジワと汗が流れていくのを感じる。
「おおおおおおお!」
やがて廊下から男女の雄たけびが入り混じり、ドアの前で止まった。
嘘でしょう……?
嫌な予感が的中し、次の瞬間には窓ガラスが割られていた。
最初に目に入ったのは灰色の目をした男子生徒だった。
その生徒は素手で窓を割ったようで、握り締めた拳にガラス片が刺さって血が流れていた。
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