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みんな刺されたり殴られたりしていて、血だまりができている。
「今、殺人鬼は何人いるんだろう?」
中庭を歩きながらポツリと呟く。
「わからない。でももう相当な人数になってると思う」
ネットの情報が正しければ、あのアザは30分で倍増えていく。
1人目の理恵が犯行に及んでから、すでに3時間は経過していた。
単純に計算しても60人以上いるということになる。
そしてそれはこれからも増え続けていくのだ。
ありえない恐怖に身がすくんでしまいそうになる。
「遥?」
「ううん。平気」
こうして少しの変化でも感じ取ってくれる純也が一緒にいるんだ。
きっと大丈夫。
ここから逃げ切ることができると、自分自身に言い聞かせた。
そしてドアから校内へ戻ろうとしたとき、純也が一瞬足を止めて廊下の様子を伺った。
数人分の足音が聞こえてくるが、それが人間のものか殺人鬼のものか判断がつかない。
純也はそっとドアノブに手をかけてドアを開いた。
隙間から廊下の様子を確認した純也が一度振り向いてうなづいた。
今は安全みたいだ。
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