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純也があたしの手を引いて走りだす。
血にぬれる廊下に足を取られながら懸命に走る。
相手は悪い道でも走りなれているのか、簡単に死体を飛び越えてすぐ後ろまで迫ってきている。
悲鳴が喉の奥に張り付き、声さえ出せない。
心臓が爆発しそうなほど早鐘をうち、肺が痛く感じる。
迫ってくる生徒が手を伸ばすのが見えた。
もう、ダメだ……!
髪の毛をつかまれそうになったそのときだった。
純也に手を引かれてあたしはどこかの教室内に滑り込んでいた。
そのまま床に転がってしまう。
純也は間髪いれず椅子を持ち上げて入ってきた生徒に向かって振り下ろした。
ガッ! と鈍い音が聞こえてきて身を縮める。
2度、3度と繰り返し相手を攻撃すると、やがてその生徒は床に崩れ落ちた。
殺人鬼になったからと言って無敵になるわけではない。
こうして攻撃すれば、しっかりと反応が返ってくる。
それが今のあたしたちの救いでもあった。
しかし、あたしたちに休まる時間はない。
今の物音を聞いた殺人鬼たちが廊下に集まり始めているのだ。
「くそ……」
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