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廊下には10体の殺人鬼がいるのだ。
「遥、こっち」
純也に言われて顔を向けると教室の後方に大き目のロッカーがあることがわかった。
よく確認してみるとここが美術室だったのだ。
ロッカーには美術で使う画板などが入れられている。
「この中に隠れよう」
ロッカーを開けて足元の道具を取り出していく。
「こんな中に隠れて大丈夫?」
「とにかく静かにしてやり過ごすんだ。今はそれしかない」
戦えないと判断した純也は先にロッカーに体を滑り込ませた。
2人入っても十分な広さがありそうだ。
続いてあたしもロッカーに入り、戸を閉めた。
ロッカーの中は絵の具の匂いが立ち込めている。
ちょうど視線をあたりに隙間が空いていて、そこから教室内を確認することができた。
すると、さっき攻撃した殺人鬼が再び立ち上がるのが見えたのだ。
ゆらゆらとした足取りで教室内を回り始める。
あたしたちを探しているのかもしれない。
あたしはゴクリと唾を飲み込んでその様子を見つめた。
あれだけ攻撃されてもまだ生きているなんて、普通じゃない。
まるでゾンビだ!
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