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ゲームや漫画の世界でしか見たことのないものが、今目の前に存在している。
「不死身かよ」
純也が小さく呟いた。
片腕のない殺人鬼は教室内には誰もいないと判断したようで、出て行ってしまった。
どうやら、なにかを探すということについては不得意みたいだ。
このロッカーだって、戸を開けられてしまうとそれまでだった。
それから10体の殺人鬼たちが教室の中に入ってきたが、彼らもまた同じだった。
ロッカーの中を探すという行為はできないみたいだ。
物音がした教室に無理やり入ることはできても、物音が聞こえてこなければそこまでしない。
それがわかれば大きな進歩だった。
「警察の人は動いてるんだよね?」
誰もいなくなったのを確認して、あたしは純也にそう聞いた。
「当然だろ。理恵のときにすでに学校に来ていたし、応援を呼んでると思う」
「それじゃ、この騒動もすぐにおさまるよね?」
その問いに関しては純也は無言だった。
さっきから学校内で警察官の姿を見かけていない。
2階や3階にいるのかもしれないけれど、発砲音なども聞こえてこない。
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