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どうなっているのか全然わからない状態だった。
「この町の高校って、ここだけじゃないよな」
質問とは違う返事が返ってきて、あたしは瞬きをした。
「もし、他の高校でも同じことが起きてたらどうなる?」
「え?」
不安が胸に膨らんでいく。
「これは16歳が殺人鬼に操られる現象だ。この町に16歳は何人いる?」
そんなこと考えたこともなかった。
「まさか、他の学校でも広まってるってこと?」
「わからないけど、その可能性もあるんじゃないかって思ってる。あまりに警察の動きが鈍く感じるのは、あちこちに借り出されているからかもしれない」
「もしそうだとすれば、殺人鬼の人数も数え切れないことになる」
あたしは自分の体が強く震えるのを感じた。
あたしたちが助け出されるのは一体いつになるんだろう。
それまで生きていることはできるのかな。
そんな不安が際限なく襲い掛かってくる。
「とにかく、今は静かに待っているしかないみたいだな」
純也は疲れた声でそう言ったのだった。
☆☆☆
それからどのくらい時間が経過しただろうか。
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