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ロッカーの中でずっと立っているのにさすがに疲れてきたときだった。
「助けて!」
そんな悲鳴と共に女子生徒が教室に逃げ込んできたのだ。
ハッと息を飲んで隙間から確認すると、女子生徒が疲れ果てた様子でその場に崩れ落ちていく。
よほど逃げ回ってきたのだろう、制服も髪の毛もボロボロの状態だった。
しかし、そんな彼女を追いかけて殺人鬼が教室内に入ってきたのだ。
1体や2体じゃない。
10体以上の殺人鬼たちがあっという間に彼女を取り囲んでしまった。
咄嗟にロッカーの戸を開けてしまいそうになり、純也に手を握られて制された。
この状態でロッカーから飛び出すのは自殺行為だ。
わかっているけれど、目の前の彼女を見放すことがどうしてもできない。
小村君のときはその姿が見えていなかったけれど、今度は状況が違う。
どうにかしてあげられないかと歯を食いしばったとき、純也があたしを抱きしめていた。
純也の胸に顔をうずめる形になり、彼女の姿が見えなくなった。
それから両耳をふさがれて彼女の悲鳴も聞こえなくなった。
「純也……?」
「静かに」
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