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「どうして? あたし、純也を殺しちゃうことになるかもしれないんだよ?」
思わず声が大きくなってしまった。
あたしは本気で純也になら殺されてもいいと思っている。
「じゃあ聞くけど遥は俺を殺せる?」
「あ……」
そんな質問はずるいよ。
あたしから殺してほしいとお願いしたのに、自分は純也を殺すことができないなんて……。
「その時はたぶん、アザを切り落とすよ」
あたしは小さな声で言った。
聞いた話が本当かどうかはわからない。
でも、人間に戻る可能性があるのなら、あたしはその手段を選ぶ。
「そっか。じゃあ俺もそうするよ」
純也が笑ったのがわかった。
あたしはうなづく。
それはこの先なにがあっても、2人で頑張るという誓いにも似た会話だった。
☆☆☆
それから更に10分ほど経過していた。
相変わらず学校内のあちこちから悲鳴が聞こえてきている。
本当に警察の人は来ていないのではないかと不安になってくる。
「そろそろ、移動してみるか」
純也はロッカーの中にいる体制がきつくなってきたのか、そう言った。
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