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「そうだね。この教室は大丈夫そうだし……」
せめてもう少し広い場所に出たいと思い、そっと戸を開けた。
美術室の中には最初から転がっていた死体と、さっき殺された女子生徒の死体が残されていた。
相手は殺人を犯すとその人物には興味を失ってしまうみたいだ。
だから教室のあちこちに死体が放置されてしまう。
あたしはさっき殺された女子生徒の死体に近づいて床に膝をついた。
「助けてあげられなくてごめんね」
呟くように言い、手を合わせる。
その間純也は窓に鍵をかけていた。
「ここにとどまるの?」
「わからないけど、とりあえず鍵をかけておこうと思って」
純也は左右に首を振りながら答えた。
今この教室に脅威はない。
だけどこれだけ死体が転がっている教室にとどまるのは気分がよくなかった。
思案していると、また廊下から足音が聞こえてきてあたしと純也は息を潜めた。
相手が殺人鬼なら音を立てなければいいだけだ。
きっとやり過ごすことができる。
そう思っていたのだが「誰か助けて!」という言葉が聞こえてきてあたしと純也は顔を見合わせた。
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