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「誰かいないの!? ねぇ!?」
声は女子生徒のもので、他に足音などは聞こえてこない。
殺人鬼に追われているのではなく、必死に生きている人間を探している様子だ。
「どうするの?」
「少し覗いてみよう」
純也はそう言うと少しだけドアを開いて廊下の様子を確認した。
あたしも、後ろから確認する。
廊下は静かで女子生徒が1人でふらふらと歩いているのが見えた。
「あの子1人だけみたいだね」
「あぁ。でも、あんなに声を上げてたらすぐに捕まる」
純也はため息交じりに言い、ドアを大きく開いた。
突然ドアが開く音に驚いた女子生徒が一瞬足を止めた。
そしてこちらを確認するとかけてきた。
「あ、あなたたち生きてる人間!?」
そんな質問をしながら教室に駆け込んできた。
すぐにドアを閉めて鍵をかける。
「しっ! 殺人鬼たちは音に反応して近づいてくるみたいです。静かに」
あたしは人差し指を口に当ててそう言った。
女子生徒は納得したように何度もうなづく。
「と、友達みんなとはぐれちゃって、あたし1人になって、ずっと逃げてたの」
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