バラバラになる

16/21
前へ
/135ページ
次へ
「誰かいないの!? ねぇ!?」 声は女子生徒のもので、他に足音などは聞こえてこない。 殺人鬼に追われているのではなく、必死に生きている人間を探している様子だ。 「どうするの?」 「少し覗いてみよう」 純也はそう言うと少しだけドアを開いて廊下の様子を確認した。 あたしも、後ろから確認する。 廊下は静かで女子生徒が1人でふらふらと歩いているのが見えた。 「あの子1人だけみたいだね」 「あぁ。でも、あんなに声を上げてたらすぐに捕まる」 純也はため息交じりに言い、ドアを大きく開いた。 突然ドアが開く音に驚いた女子生徒が一瞬足を止めた。 そしてこちらを確認するとかけてきた。 「あ、あなたたち生きてる人間!?」 そんな質問をしながら教室に駆け込んできた。 すぐにドアを閉めて鍵をかける。 「しっ! 殺人鬼たちは音に反応して近づいてくるみたいです。静かに」 あたしは人差し指を口に当ててそう言った。 女子生徒は納得したように何度もうなづく。 「と、友達みんなとはぐれちゃって、あたし1人になって、ずっと逃げてたの」
/135ページ

最初のコメントを投稿しよう!

57人が本棚に入れています
本棚に追加