武器

4/15

57人が本棚に入れています
本棚に追加
/135ページ
先に誰かに持っていかれていなくて良かったと安堵し、2人でそれぞれモップを持って廊下へ出た。 今廊下は静かだった。 でも、殺人鬼がどこから出てくるかわからない。 純也があたしの前をゆっくりと歩きだす。 あたしは後方を確認しながらそれについて歩き出した。 一歩歩くたびにシューズが床にこすれて音を立てる。 その音がうるさく感じて背中に汗が流れて行った。 トイレの水道で少し水分補給をしたものの、すぐに喉はカラカラになってしまう。 そろりそろりと階段まで来たとき、純也が足を止めた。 「どうしたの?」 小声で聞くと、純也が目で階段を確認するように促してきた。 身を乗り出した瞬間、灰色の目と視線がぶつかった。 咄嗟に叫んでしまいそうになり手で口を覆う。 灰色の目を持つ男子生徒が階段の途中で仰向けになり、口から血を流して死んでいたのだ。 誰かに突き落とされたのかもしれない。 あたしは一旦死体から視線をそらし、呼吸を整えた。 この学校内にはもっと沢山の死体がある。 その度に動揺していたら逃げ切ることはできない。
/135ページ

最初のコメントを投稿しよう!

57人が本棚に入れています
本棚に追加