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最初から折れていたのか、男子生徒の手はすぐに力をなくしてダラリと垂れ下がった。
その隙にあたしは2階へ向けて駆け出した。
踊り場まで来て言った振り向くと、男子生徒が壁に手を着いて体を起こすのが見えた。
その体はあちこちが骨折していて、腕も足も首も、あらぬ方向を向いている。
一歩足を踏み出そうとした男子生徒はそのまま体のバランスを崩して、階段を落下していってしまった。
グシャッ! と柔らかなものが落ちる音が響く。
「行こう遥」
純也は顔をしかめてあたしの手を握りなおしたのだった。
☆☆☆
2階の廊下を覗くとそこにも沢山の死体が転がっていた。
つい数時間前まで普通の日常があったとは思えない場所だ。
あたしと純也は殺人鬼がいないことを確認して2階の廊下を歩いた。
雪や香がいないか死体を確認して歩いていると、その半数に耳のアザがあることがわかった。
ここの階では随分と乱闘が行われていたのかもしれない。
残りの殺人鬼がどれくらいの数いるのかわからない。
でも、30分ごとに倍の人数になるのだから決して少なくはないはずだ。
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