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純也は万能膨張をケースに入れ、ズボンに差し込んだ。
「これで少しは大丈夫だろう」
純也がそう言ったときだった。
開け放してあったドアから背の低い女子生徒が入ってきたのだ。
咄嗟に身構えて相手を確認する。
女子生徒の目は灰色だけれど、武器はなにも持っていない。
後ろから追いかけてくるような殺人鬼たちもいなかった。
あたしと純也は一瞬目を見交わせた。
殺人鬼になったからと言って力が変動するわけじゃない。
何度も攻撃を繰り返せば殺すこともできる。
この子の場合は簡単そうに見えた。
最初に純也があたしの前に立ち、女子生徒へ向けてモップを振り下ろした。
それは女子生徒も右肩に当たり、女子生徒は体のバランスを崩して倒れこんだ。
「遥、押さえていてくれ!」
言われてあたしは駆け出した。
女子生徒が立ち上がる前に、その体に馬乗りになったのだ。
力づくで押しのけて来ようとするが華奢で小さな子には負けなかった。
あたしは馬乗りになったままモップを横に持ち、女子生徒の両肩に押し付けた。
これで上半身を起こすことはもうできない。
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