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その隙に純也は包丁を取り出していた。
あの噂が本当なら、女子生徒は元に戻ってくれるはずだ。
あたしはゴクリと唾を飲み込んでその様子を見守った。
純也が女子生徒の横に膝をつき、右耳を確認する。
そこには間違いなく星型のアザが出現していた。
純也が包丁を女子生徒の耳たぶにあてがった。
あたしは目をそらし、呼吸を殺す。
それでも、包丁が女子生徒の耳たぶを切り裂く感触が全身を駆け抜けていくようだった。
ズッズッと少しずつ肌を切り裂く音が聞こえてくる。
壮絶な痛みを感じるはずなのに、女子生徒はなんの反応も見せなかった。
さっき階段で見つけた男子生徒と言い、まるで痛みを感じていないように見える。
「切り取ったぞ」
純也の言葉にそっと目を開けると、、女子生徒の耳から血があふれだしていた。
途端に女子生徒の目の色が戻ったのがわかった。
ついで「いっ!」と、痛み声を上げ、顔をしかめる。
あたしはすぐに女子生徒から体をどかして「大丈夫?」と話かけた。
女子生徒は顔をしかめながらも「なんで? どうなってるの?」と混乱した様子を見せている。
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