武器

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殺人鬼でいたときは会話もままならないはずだから、彼女は今人間に戻っているのだ。 それを確認してあたしと純也は目を見交わせた。 あの噂は本当だったんだ! 絶望の中に現れた一筋の希望に一瞬にして未来が開けていくのを感じる。 アザを切り取れば殺人鬼は元に戻る。 これをみんなに知らせれば、この事件は収束するはずだ! あたしは女子生徒の体を抱え起こした。 とにかく、この子を治療してあげることが先決だった。 この学校には各教室に救急箱が設置されているから、この調理室にもあるはずだった。 あたしは椅子に女子生徒を座らせて、棚を調べ始めた。 「あったよ」 すぐに救急箱を見つけて中から包帯や消毒液を取り出す。 出血量が多いから、まずは止血しないといけなさそうだ。 女子生徒に近づいて行くと、女子生徒はおびえた表情をこちらへ向けた。 「あ、あんた誰よ!」 震える声で警戒する。 「大丈夫だよ。あたしは1年A組の大沢遥。こっちは佐々野純也」 簡単に自己紹介をしても、女子生徒は自分の名前を名乗らなかった。
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