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純也はすぐにうなづいてくれた。
でも、そのためには今度は放送室へ移動する必要があるのだ。
放送室は3階にある。
あたしは廊下へと視線を向けた。
今のところ誰の足音も聞こえてこないけれど、3階には沢山の殺人鬼たちがたまっているかもしれない。
あたしは無意識の内にポケットの中の包丁を確認していた。
いざとなれば、あたしもこれを使わないといけないんだ。
ゴクリと唾を飲み込む。
息を殺しながら廊下へ一歩踏み出すと沢山の死体が視界にはいる。
純也はその一体へ近づいて耳を確認した。
「殺人鬼だ」
あたしも近づいてみると、確かに耳にはアザがあり見開かれた状態の目は灰色だった。
純也はそれ以上はなにも言わず、黙って包丁を取り出した。
そして死んでいる生徒の耳に押し当てる。
あたしはグッと下唇をかみ締めてその光景を見つめた。
今度は目をそらさない。
あたしもこれと同じことをしなきゃいけなくなるかもしれないのだから、しっかりと目に焼き付けておくつもりだった。
純也は少し呼吸を乱しながらも、耳を切り落とすことに成功した。
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