放送室

1/20

57人が本棚に入れています
本棚に追加
/135ページ

放送室

3階へ向かう中、あたしたちは死体を注意深く確認することにした。 もちろん、その中に殺人鬼のまま死んだ生徒がいたら耳を切り取るためだ。 「こんなに沢山殺されてたなんて……」 殺人鬼の死体の多さに疲弊してしまいそうになる。 あたしももう5体分の耳を切り取っていた。 手にはベッタリと血がついていて、それを洗い流すこともしないまま先へ進んでいる。 救いなのは今のところ雪や香の死体を見ていないことだった。 でも、他のクラスメートたちの死体はすでにいくつも目にしてきていた。 あまり会話をしたことのないクラスメートたちでも、その死に顔を見てしまうと胸が張り裂けそうになった。 「やっと階段だ」 2階の廊下だけは確認できたけれど、教室内までは見ていない。 きっとそこにも沢山の死体があるはずだ。 少し新鮮な空気がすいたくて廊下の窓を開ける。 途端にあちこちから悲鳴が聞こえてきて身をこわばらせた。 必死で逃げてきたし、自分たちのことだけで精一杯だったし、窓も閉められていたから、外の声に気がつかなかったみたいだ。 近くから聞こえてくる悲鳴。
/135ページ

最初のコメントを投稿しよう!

57人が本棚に入れています
本棚に追加