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そんな気持ちが言葉を発してる内に涙腺を伝って流れ落ちてきてしまった。
「よく頑張った」
放送を終えた後、純也はそう言って抱きしめてくれた。
今日はもう何度もこうして抱きしめられているのに、すごく久しぶりのような気がした。
「ここで少し休憩して、それから外へ出よう」
純也の言葉にあたしは素直にうなづいたのだった。
☆☆☆
しばらく放送室の床で座り込んでいると、少し眠ってしまっていたようだ。
目を開けると純也の寝顔が近くにあって、思わずドキッとしてしまう。
こんな状況でも2人でいられて本当に良かったと思えた。
あたし1人だったら、きっととっくの前に諦めてしまっていたと思う。
あたしは純也の長いまつげに見とれる。
こうしていると、殺人鬼の感染だなんて嘘みたいだ。
ずっとずっとこうしていたい。
しかし、血なまぐさい臭いが鼻腔を刺激して嫌でも現実に引き戻されてしまう。
上半身を起こして放送室の中を確認すると、女子生徒の遺体があるのだ。
よくこんな場所で眠れたものだと、我ながら関心してしまう。
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