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その右耳には生まれながらにある星型のアザがあった。
「今日も元気ないなぁ文隆は」
私は挨拶もしない文隆に盛大なため息を吐き出した。
この学校に入学してから初めて会った文隆だが、その性格のおとなしさが日ごろから気になっていた。
少女のように白い肌、子供のように華奢な体。
おまけに消極的な性格をしている文隆は、当然のようにクラスになじめることもなく、毎日を1人で過ごしているような子だった。
だけど、文隆はとても綺麗な顔をしていた。
色白であることがあいまって、なんだかはかなげに見えたのだ。
昔からおとなしい子やイジメられている子をほっとけない性格だった私はすぐに文隆にくっついて回るようになった。
かといって文隆が私と仲良くしてくれるとは限らない。
たいていの場合、文隆はさっきのようにかすかに微笑むだけだった。
それでも、そんな笑顔を浮かべてくれるのは私の前だけだった。
それくらい文隆は表情にも乏しくて、なにを考えているのか変わらない子だったのだ。
そんな文隆の様子がおかしいと感じたのは梅雨入り前のある日だった。
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