「F」の過去

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「文隆、なんか今日体調悪い?」 朝からずっと青ざめている文隆に、私はそう声をかけた。 教室を出ようとしていた文隆は振り向き、その顔は驚きで目が丸くなっていた。 「どうして……?」 文隆は消え入りそうな声でそう言ってきた。 『どうしてわかったんだ?』 ということみたいだ。 「そんなの見たらわかるよ。ずっと顔色悪かったじゃん」 そう言うと、文隆は何か思案するように眉を寄せて黙り込んだ。 「どうしたの? なにか言いたいことがあるなら、聞くよ?」 「……うん」 文隆は一言だけ言ってうなづくと、私の手を握って歩き出した。 その手は女の子のように細くて一瞬ドキッとしてしまった。 文隆は本当にこのまま消えてしまうんじゃないか? そんな不安まで胸によぎった。 そして、つれてこられたのは近くの公園だった。 小さな公園でブランコがひとつしかないので、誰の姿もない。 それを確認すると文隆は安心したように息を吐いて、ベンチに座った。 「で、なにがあったの?」 私は文隆の隣に座って質問をした。 「……昨日、病院に行ったんだ」
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