妹さん

1/18

31人が本棚に入れています
本棚に追加
/51ページ

妹さん

それから俺は施設には戻らず、24時間営業のネットカフェに入った。 スマホを確認してみると施設からの連絡が10件ほど入っている。 その時、見計らったかのように施設から電話がかかってきた。 一瞬迷ってから、電話に出た。 「はい」 『あ、お前なにしてんだよ!』 それは同室の大谷の声で思わず胸をなでおろす。 先生にこっぴどく怒られると思っていた。 「悪い。ちょっとやらなきゃいけないことがあったんだ」 『はぁ? なんだよそれ! 夜中に抜け出してまでやることなのか!?』 「そうなんだよ。絶対に、今やらなきゃいけないことなんだ」 キッパリと言い切ると、大谷は驚いたのか言葉を切った。 そして『今日はどうするんだ?』と、質問を変えてきた。 「今日も帰れない。いや、すべてが解決するまで帰れないかもしれない」 その覚悟で昨日の夜施設を抜け出してきたのだ。 『そうか。本気なんだな?』 「あぁ。もちろんだ」 俺は相手が見えていないのに力強くうなづく。 『わかった。それなら先生には適当に説明しとく』 その言葉に胸に溢れる気持ちがあった。
/51ページ

最初のコメントを投稿しよう!

31人が本棚に入れています
本棚に追加