妹さん

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泣いてしまいそうになり、グッと目に力をこめて涙を押し込めた。 「あぁ。悪いな」 『その代わり、無事に戻ってこいよ』 「……わかった」 本当はどうなるかわからない。 それはきっと大谷も理解している。 俺が隣町なら逃げ出してきたと知っているから、命の危険があることに進んで向かっていっていることにも気がついているだろう。 だけど大谷はなにも言わなかった。 ただ戻ってこいとだけ言って、電話は切れた。 俺のやりたいことは沢山の人の心配と協力があって成り立っている。 絶対に途中で諦めたりするもんか。 俺は気を取り直してパソコン画面に向かった。 文隆が起こした事件に関する記事を探し、もう一度隅から隅まで調べなおす。 その中には被害者家族のコメントが載っているページもあった。 《森安文隆を同じ目にあわせてやりたい》 《絶対に許さない。娘を返せ》 《事件の後自殺しただなんて許せない。拷問してやりたかった》 次々と溢れてくる憎悪に吐き気がこみ上げてくる。 これだけ憎まれている文隆の呪いは今でも続いていて、止まることを知らないのだ。
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