妹さん

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「もしかして、森安さんですか?」 俺は女性が警戒していることも忘れ、身を乗り出すようにして聞いた。 女性は一歩後退して「だったらなんなのよ」と、答える。 やっぱりそうだ! ということは、この人が文隆の妹さんだ! 目の前に現れた大きな希望に気持ちが焦り始める。 だけど今俺は不審者扱いになりつつあるから、慎重に言葉を選ぶ必要があった。 「突然押しかけてすみません。実は俺、文隆さんの事件を調べているんです」 そう言うと、女性はますます怪訝な表情になった。 「まさか、また報道陣じゃないだろうね? 過去の事件をほじくり返す気なの!?」 女性の言葉に俺は大きく首を振った。 「そうじゃないです。俺はただの高校生で……」 そこまで言って一瞬言葉を切った。 高校に通っていないことを思い出してしまったのだ。 「高校生?」 「はい。実は一ヶ月前まで隣町にいて、ここまで逃げてきたんです」 そう言うと女性は驚いたように目を丸くした。 「そんな子が、どうしてうちに?」 「信じてもらえないかもしれないですが……」
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