妹さん

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そして、根負けしたようにそう言ったのだった。 ☆☆☆ どうにか話が聞けることになった俺たちは、昨日の喫茶店へやってきていた。 この辺では現役を引退した人たちの憩いの場となっているようだ。 「まさか、あの家が売れるなんて思ってもいなかったわ」 森安さんはコーヒーを一口飲んで言った。 「あの家、売られるんですか?」 「えぇ。この辺じゃ有名な心霊スポットになっていたし、あんな事件を起こした家族が暮らしていた家なのに、物好きがいるわね」 「だから、掃除をしてたんですね」 俺は納得すると同時に焦りを感じていた。 あの家が他人の手に渡れば、もうなんのヒントも得られないような気がした。 「それで? あなたは文隆のなにが知りたいの?」 真剣な表情になって森安さんはそう聞いてきた。 俺は居住まいを正してもう1度隣街で起こっている事件について説明した。 「あれはただの事件じゃありません。殺人感染なんです」 森安さんは途中で口をはさむことなく、ジッと話を聞いてくれた。 「兄は生まれつき耳にアザがあったの」
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