妹さん

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「その後、あの事件が起こった」 俺は呟いた。 生まれてから長い間家に閉じ込められ、外に出たらイジメられ、やっと桃田さんという友人ができたと思ったら余命宣告を受ける。 文隆の胸の奥にどす黒い気持ちが生まれる瞬間が見えるような人生だ。 「話してくださってありがとうございました」 俺は重たい気分になり、そう言ったのだった。 ☆☆☆ 文隆が大量殺人にいたった理由が少しだけ見え始めた。 俺がもし文隆と同じ人生を歩んでいたら、それこそ同じことをしたかもしれない。 だとしたら、隣街で起こっている呪いの殺人はいつになったらとまるんだ? そう考えて、青ざめた。 止まらないかもしれれない。 文隆の気持ちが静まることがあるのかどうかもわからない。 このまま街は壊滅し、そして20年後にまた殺人感染が起こる。 その繰り返しが起こっても不思議じゃなかった。 「ダメだ。このままじゃ……」 俺は口の中で呟いて足早に桃田さんの家へと向かったのだった。 ☆☆☆ 森安さんの話によれば、文隆の唯一の友達は桃田さんだけだった。
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