妹さん

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そう言うと、桃田さんは自分の分のお茶を一口飲んで息を吐き出した。 「そうね。私はただの同級生だったけれど、前に話したとおり文隆のことは気にしてたわ。イジメられている子を見ると、ほっとけないの」 桃田さんは肩をすくめていう。 「よく映画に行っていたんですよね?」 「そうよ。文隆はあまり娯楽を知らずに生きてきた。だから映画に連れて行ったときは本当に楽しそうにしていたのよ。恋愛もコメディも大好きで。だけど一番気に入っていたのはスプラッター映画だった」 「スプラッター?」 俺は眉を寄せて聞き返した。 「えぇ。今ではスプラッター好きな人は山ほどいるけれど、当時はあまり声を大きくしては言えないことだったわ。だけど、文隆はずっと虐げられてきたから、そうやって映画内でだけでもストレスを解消してたんじゃないかしら?」 そうなのかもしれない。 ストレスと、娯楽を知らずに生きてきたことが重なっていた。 そんなときに余命宣告を受けてついに爆発を起こしてしまった。 「文隆さんの気持ちを静めるためにはどうすればいいと思いますか?」 「そうねぇ……」
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