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その質問には難しそうな表情で黙り込んでしまった。
なんでもいい。
思いつくことを聞いて、それを実践していく他ない。
「文隆に、なにか他の娯楽を与えるとか」
数分考えた後、顔を上げて桃田さんは言った。
「他の娯楽ですか?」
「そうよ。文隆にとっての娯楽は映画だけだった。しかもスプラッターよ。それしか知らなかったから、今でも人殺しに固執してしまっているのかもしれない」
「たとえば、どんな娯楽を知ってもらえたらいいと思いますか?」
聞くと、桃田さんは突然立ち上がった。
「そんなの簡単よ。今から買い物へ行くから付き合ってくれる?」
元気よく言う桃田さんに俺はせかさせるようにして立ち上がった。
一体どこへ行くんだろう?
そう思ったが、桃田さんは答えてくれなかったのだった。
☆☆☆
そして2人でやってきたのは駅前のデパートだった。
あらゆるものが置いてある3階建てのデパートで、たいていのものはここで手に入った。
桃田さんはデパートに入ると真っ先にエレベーターに乗り、3階へと向かった。
「もしかして、おもちゃ売り場ですか?」
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