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文隆の恍惚とした表情を見た瞬間、あぁ。これだと感じた。
私が文隆のためにできることをようやく見つけたのだ。
文隆が先生を刺したことに気がついて生徒が悲鳴を上げて立ち上がる。
それより先に私はドアの横に移動していた。
そして、教室から逃げ出そうとした一番最初の生徒をこかせたのだ。
後はドミノ倒しだった。
次々と迫ってくる生徒たちが、こけたせいとにつまづいてこける。
立ち上がろうとする前に次の生徒がやってくる。
そうなると下敷きになった生徒は簡単に脱出することはできなくなった。
私はそれを確認して、巻き込まれないように身を引いた。
一瞬文隆と視線がぶつかったので、私は微笑んだ。
どうぞ。
好きにして。
そんな思いをこめた。
文隆は私の気持ちを汲み取ってくれて、動けなくなった生徒たちにナイフを突き立てた。
1人、2人、3人、4人。
教室内はあっという間に阿鼻叫喚に包まれた。
こんな地獄絵図今まで見たことがない。
朝起きたときに感じた嫌な予感は的中した。
でも……文隆は笑っていた。
だから、それでよかった。
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