お墓

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これで、正解だった。 ☆☆☆ 「あんた、あの事件に加担してたのか!」 話を聞いた俺は愕然として言った。 それでも目の前に立つ桃田さんはナイフを持ったまま笑っている。 「そうよ。私は文隆のことが好きだった。白い肌も、綺麗な顔も、あのアザだって、悲惨な生い立ちだって。文隆のすべてが愛しかった。だから、文隆を苦しめた人間なんて1人残らず死ねばよかった」 笑顔を絶やさずに言う桃田さんは純粋な目をしている。 だから余計に恐ろしかった。 自分がなにをしてしまったのか、そして今何をしようとしているのか、罪悪感というものがまるでないのだ。 だからこそ、俺が始めて桃田さんに会ったときもあんな風に普通に会話をすることができたんだろう。 今となれば、騙されていたとしか感じられないが。 「文隆の邪魔はさせない!」 桃田さんは叫び声を上げるとナイフの切っ先をこちらへ向けて走り出した。 咄嗟に身をかわす。 さすがに70代の足ではこちらの動きに追いつけない。 だけど相手は俺を殺すつもりでいる。 早く逃げないと本当に殺されてしまうかもしれない。
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