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それにあわせ、俺は一歩後ろで手を合わせる。
「さ、佐々野君。お願いね」
「はい」
俺はうなづいて文隆の墓の周りに沢山のおもちゃやCDを並べていった。
世の中にはこんなに楽しいものがあるんだ。
もう、人殺しを娯楽にする必要はない。
心の中でそう言いながら。
桃田さんだって最初は俺と同じ様な気持ちだったのだろう。
文隆を喜ばせたい。
その一心で映画に連れ出していた。
それなのに文隆は余計宣告をされた。
生まれてきたときから積み上げられた大きなストレスに追い討ちがかけられたのだ。
そしてあの日、ついに爆発してしまった。
自分をイジメてきた人間を殺すことですべての鬱憤を晴らしたのだ。
それでも、文隆の気持ちは晴れなかった。
もっともっとと願い、それは年月を超えて、アザとなって俺たちの前に再び出現した。
感染した生徒たちはみんな楽しげに人を殺す。
文隆にとってそれは最上級の快楽であったからだ。
「もう、人を殺す必要なんてないからな」
俺は右手を墓に触れて話かけた。
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