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夢中になって調べていたから、窓の外はすでに明るくなり始めている時間になっていた。
長時間イートインスペースに居座っている俺に、店員もさすがに怪訝そうな目を向けている。
俺は椅子から立ち上がると、朝ごはん用におにぎりとお茶を購入してそのまま外へ出た。
朝のさわやかな空気に混ざって、隣街から血の臭いが漂ってくる。
視線を向けてみると、コンビニから100メートルほど離れた場所に白いバリケードが築かれていて、その向こうから物々しい雰囲気を感じ取った。
ここからほんの少ししか離れていないのに、向こうには地獄が広がっている。
俺はグッとペットボトルを握り締めて、歩き出したのだった。
☆☆☆
時々スマホで地図を確認しながらやってきたのは森安一家が暮らしていた家だ。
この家には犯人となる文隆は暮らしていなかったみたいだけど、なにかあるかもしれない。
「ここか」
たどり着いた先にあったのはまさしく廃墟だった。
もう何年、何十年と人が暮らしていないようで庭は荒れ果て壁や窓には蔦が絡まっている。
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