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"布団にちゃんと入りましたか、景衣さん"
「……入った」
渋々ベッドに横になりつつ、スマホをスピーカーフォンに切り替えると「やれば出来んじゃん」と謎の上から目線で評価を受ける。
"んー、じゃあ今日立ち読みしてきたジャ●プの話から勝手にするわ"
「…え」
"まじで今週全部激アツ展開すぎてどれから話すか迷うな"
「ちょっと待ってやめてよ!?私は単行本派なの!!」
掛け布団を被る途中で男の切り出した話に焦りつつ、枕元のスマホに向かって指摘する。
そもそも、受験を目前に控えて、楽しみにしている漫画が発売されても買わずに我慢している私に、なんて話題を選んでくるのだ。
"ラジオに話しかけてくんなよ"
不服そうな声が聞こえ、「他のテーマ希望します」と伝えると「このリスナーうるせえな」とパーソナリティらしからぬ発言を受ける。クビにしたい。
"大体、単行本くらい受験終わったらいくらでも買ってやるわ"
そういう話をしてるんじゃないんだけど。今度は心の中で突っ込みを入れながら天井を見つめていると、なんだかもはや笑えてきて、段々脱力していく。
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