この場所は独りより、ふたり

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「一芭、寂しい、」 「…うん」 「ごめん、笑って、新しい門出をちゃんと見送れる彼女になりなかったけど、やっぱり無理だ」 「諦めろ。よく考えたら、俺らにそんな清々しいキラキラした感じ、キモいだろ」 「あんた、なんて言い方すんの」 信じられない、と目を三角にしながら顔を上げた景衣の唇に噛み付く。 不意をつかれて悔しさを滲ませる女に笑って、瞼や頬にもキスを落とすと、擽ったそうに少し身を捩って、それからまた涙を溢す。 そのまま首に腕を回してぎゅうと抱きつきながら、「だいすき」と涙混じりに伝えられて、情けなく視界が歪んだことは絶対、死ぬまで誰にも言わない。 063afbcc-b29b-4e3b-9a7a-9fb2649c0c46 もう、駐車場を走り回るような子どもじゃない。 ――でも、完璧な大人でも、無いから。 俺らに上手な「さよなら」は、まだ早いらしい。 だからその分、寂しさで浮き彫りになる、まだまだぎこちない想いを、分け合うしかない。 × time to say goodbye ○ time to say love
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