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二人で登校
「あー……。その、なんだ」
僕たちは窓越しに再会した。もちろん僕は見なかったけれど、多少は触らないといけなかった。それを分かっているのだろう。僕の姿のマイは複雑な顔をしている。
そんなマイがポツリと言う。
「学校、行かないと」
「うん」
「ご飯食べたら、家の前で会いましょう。お母さんに正体バレないようにね」
「おー」
そうだ。これから中身が僕だということが知られないようにしないといけない。まさか、入れ替わっているとは思われないだろうけれど、頭がおかしくなったと思われるかもしれない。
「それじゃ、また後で」
制服姿の僕は、階段を下りてダイニングに向かう。マイの部屋と同じで鶴ノ原家は白を基調とした家具で統一されている。テーブルには既にパンとサラダ、スクランブルエッグが並んでいる。
「おはよう、マイちゃん」
これまた美人のマイのお母さんが、白いエプロン姿で出てきた。
「おはよう、お母さん」
ふっふっふ。昔からのお隣さんだから、これぐらい序の口だ。僕は椅子に座って、朝ご飯を食べだす。余裕、余裕。と、そう思っていたんだけど、
「そういえば良かったわね、マイちゃん。陣ちゃんと同じクラスで」
「え」
僕の話題がいきなり出てきた。マイのお母さんはこっちをニコニコしながら見ている。だけど、僕は返答に迷った。いつもの僕に対するマイなら、僕と一緒のクラスなんて最悪だと言うだろう。だけど、母親相手にそう言うだろうか。
えーい、ままよ!
「うん! すっごく嬉しい!」
満面の笑みで言ってみた。
「マイちゃん……」
え、やっぱり不正解だった? マイのお母さんは驚いているようだ。だが、すぐに笑って言う。
「そうよね。ママもマイちゃんのこと応援してる」
応援してる? なにを??
よく分からないけれど、僕はおいしい朝食を食べ進めた。
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