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「家の近くで、お前たちが楽しそうに、ドーナツと牛乳を食べているのを見かけたらしい。  男ふたりが、楽しそうに車の中でおやつを食べているなんてめずらしいな、と思って、なんとなく覚えていたら、 今日も車の中でドーナツと牛乳を食べていたので、見張られていると思ったと言っていたぞ。ドーナツと牛乳は、世間的に張り込みの必須アイテムじゃないか。分かりやすすぎるだろうが!」 「いえ、我々が食べていたのは、サーターアンダギーであり、ドーナツとは違うのであります」と、ヒロ刑事が胸を張る。 「それにウルフが飲んでいたのは、牛乳ではなくシークワーサージュースであり、」 「まっ、ドーナツでもサターンダービーでも結果オーライだ」 「いえ、サーターアンダギーです」思わず、ウルフ刑事が訂正する。悪魔の競馬なんて食べたら、なんだか呪われそうだ。ウルフ刑事はブルルッと体を震わせた。 「犯人はどうしていますか? 確保した時、少し様子がおかしかったような気がしたんですが」 「そうだなぁ。おかしい、っていうほどじゃないが。取り調べの合間に一人で待たせていたら、『ああ、残念だ。残念だ』と独り言をブツブツ言っていたらしいぞ。 後で、残念だ、というのはどういう意味だ、と聞いても、きょとんとして、そんなこと言っていませんよ、と答えたそうだ」
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