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 午後一時のひよこ公園は、閑散としていた。子供達が遊びに来るには、まだ少し早いのだろう。ウルフ刑事は浮かない顔で、右手に持ったパステルカラーの紙袋をチラッとみた。 「先輩、手土産、ケチるなって言われたじゃないですか」 「だから、一番高いエンゼルクリームショコラリングとか、ミラクルレインボールとか、子供に人気のピカッとチュー・コラボドーナツも入ってるぞ。子供はだいたい、ドーナツが好きだし、タバちゃんも好きに決まってる」 「はあ……」  ウルフ刑事は、相槌ともため息ともつかない声を出した。ヒロ刑事が、手土産には和菓子や有名洋菓子店の焼き菓子を買いましょう、と提案したのに、ヒロ刑事が独断でドーナツ店に入って、買ってしまったのだ。  犯人逮捕の協力をしてくれたのはタバちゃんなのだから、手土産は子供が好きなドーナツでもいいのかもしれない。しかしドーナツがヒロ刑事のセレクトだと思うと、どうも自分が食べたいものを買ったとしか思えない。 (まさか上がり込んで、ちゃっかり自分も一緒にドーナツを食べるつもりなんじゃ……?)  嫌な予感がよぎった。  ウルフ刑事はヒロ刑事が靴を脱ごうとしたら、足を踏みつけて止めよう、と心に決めた。
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