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「あれ? あの公園の砂場にいるのは、タバちゃんじゃないですか?」
「おー、噂をすれば、だな!」
「一緒にいるのは、この前、タバちゃんを家に送ってくれた女性でしょうか?」
「いや、違うな。この前の人は、もっとこう、たおやかな感じだった。砂場でタバちゃんと一緒に遊んでいる女性は、たくましいだろ? 別人だ」と、ヒロ刑事はやけに自信満々に答えた。
ウルフ刑事は、砂をスコップですくって、赤いバケツに入れている女性を見た。ベージュ色のスラックスに明るい黄色のポロシャツを着ている。体つきは、太めと言うよりも生命力にあふれている感じだ。若く見えるが、おそらく五十代半ば位だろうと見当をつける。
確かにあの日、タバちゃんの手を引いていた儚げな人とは、別人のようだ。それにタバちゃんのお母さんでもない。タバちゃんのお母さんには、前回の事件の時に会っているので確かだ。
「タバちゃん、こんにちは」
「こんにちはでつ」
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