3/5

64人が本棚に入れています
本棚に追加
/30ページ
「ヒロさんにウルフさん! お会いしてみたかったんですよぉ!」と、タバちゃんの隣にしゃがみ込んでいた女性が勢いよく、立ち上がった。  唇をキュッと持ち上げて、大きくにっこりと笑うと、ふっくらした頬がもりっと盛り上がった。目が真ん丸で、口が大きい。顔のパーツのひとつひとつが大きいのだ。南方系のはっきりとした目鼻立ちは、とうがたった美人と言えなくもない。しかし……。 (どこかで見たことがある……)とヒロ刑事は首をひねった。  明らかに初対面のため、会ったことがある、というのとは違う。似た人物を見たことがあるのだろうが、どこで見たのか思い出せない。 「タバちゃんの家に、今日、お二人が挨拶に来るっていうから、タバちゃんを誘って、ここで待ち構えていたのよ!」  どうやら、シーサー課長がやけにひよこ公園の中を通って行くように、と言っていたのは、この女性に会わせたかったかららしい。 「はあ、あの、それでどちら様でしょう?」 「まあまあ、それはまた後でね。さ、こちらですよ」と言って、スコップをプラスチックのバケツに入れて手に持つと、反対側の手でタバちゃんと手を繋いだ。そしてタバちゃんと結んだ手をぶんぶんと前後に振りながら、わしわしと歩き出した。  ヒロ刑事とウルフ刑事は一瞬、顔を見合わせたのち、しかたなく後に付いて行った。
/30ページ

最初のコメントを投稿しよう!

64人が本棚に入れています
本棚に追加