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「それじゃ、刑事さん達に話を聞いてもらいましょ! お邪魔しまーす」とシーサー夫人は、気軽に靴を脱いで佐藤さんの家に上がり込み、さらにヒロ刑事とウルフ刑事にも早く早くと手招きした。 「え? あのー。僕たちはタバちゃん、いえ、こちらのお嬢様に犯人逮捕にご協力いただいたお礼にうかがっただけですので、玄関先でおいとまします」と、ウルフ刑事は丁重にお断りした。 「あら。聞いてないの?」 「何をですか?」 「心・霊・現・象!」  なぜかウキウキとシーサー夫人が一言ずつ区切って言う。  ウルフ刑事は、「心霊現象」と聞いたとたん、くるりと回れ右をして帰りたくなった。 (心霊現象についての話があると言ったら、僕が断ると思って、シーサー課長は何も言わずにひよこ公園に行かせたんだ!)と、ヒロ刑事は瞬時に理解した。 「(だま)された……」 「え? なんですか?」 「いいえ、なんでも。それじゃ、僕たちはこれで。さようなら」と挨拶をして、ドーナツが入った箱を手渡して、実際に玄関の外に向かって、足を一歩踏み出しさえした。 それなのに……。 「あら。ドーナツ! 美味しそう。……あ、そうだわ! ご一緒にドーナツを食べながら、お話を聞いてもらったらどうかしら」とシーサー夫人が言ったとたん、ヒロ刑事がガシっとウルフ刑事の二の腕をつかんだ。  ウルフ刑事はヒロ刑事の足を踏もうとしたが、逆に靴を脱がされ、気が付けば家の中に押し込まれていた……。
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